注文住宅でよくある失敗が「予算オーバー」で希望のマイホームが建てられなかったり、土地探しをイチからやり直すことになり、何ヶ月も時間を無駄にしてしまうというケース。
そんな失敗を防ぐためにも、わが家のマイホーム予算を事前にシミュレーションし、エリア毎の相場をチェックした上で土地探しを始めるのがおすすめです。
とても簡単ですので、この記事で紹介する予算の決め方を参考に、計算してみてください。
予算の決め方は3パターン
注文住宅の予算の決め方には
- 「年収倍率から決める方法」
- 「毎月の返済可能額から決める方法」
- 「借入可能額から決める方法」
の大きく3つのパターンがあります。
それぞれ簡単に計算できますので、是非シミュレーションしながら読み進めてみてください。
パターン① 「年収倍率」から決める方法
「2022年度フラット35利用者調査」によると、土地付き注文住宅の年収倍率は下記の通りでした。
首都圏 | 近畿圏 | 東海圏 | 全国平均 |
8.1倍 | 8.1倍 | 7.7倍 | 7.7倍 |
「年収倍率」というのは「住宅購入額が年収の何倍か」という指標です。金融機関も融資審査の判断目安として年収倍率を使用しています。2022年度に首都圏や近畿圏で注文住宅を建てた方は、だいたい世帯年収の8倍ぐらいの家を建てている、という結果です。
パターン①の決め方ではこの年収倍率を使い、年収(共働きであれば世帯年収)に8倍を掛けた金額を、予算の目安とすることができます。
予算 = ①年収(世帯年収) × ②年収倍率(ex. 2022年度は約8倍)
世帯年収500万円のご家庭でしたら、「500万×8」で4,000万円がざっくりとした予算額ということになります。
この方法は簡単に予算を計算できるメリットがある一方、あくまで年収倍率の平均値から計算した金額になるので、個々のご家庭の事情にあった正確な予算にはならないことに注意が必要です。年収倍率8倍での借入ができるかは事前審査を行ってみないとわかりませんし、自己資金をどのぐらい用意できるかで毎月の返済額が変わります。
年収倍率から計算した予算は、あくまでおおまかな住宅購入額の目安に留めましょう。
パターン② 「毎月の返済可能額」から決める方法
予算 = ①毎月の返済可能額 + ②返済期間(ex. 12ヶ月×35年)
パターン②のやり方は、現在の家賃や住宅ローン支払い額から無理のない「毎月の返済可能額」を設定し、「返済期間」を掛け算して予算を決める方法です。
例えば毎月の返済可能額が10万円で35年ローンを組む場合、「10万円×12ヶ月×35年」で4,200万円が予算ということになります。
この方法は無理なく返済していけるかのイメージがしやすい一方、頭金や諸費用の支払いにあてる資金を考慮に入れていないことや、金利や住宅ローン審査の結果により、予算の見直しが必要になるリスクがあります。
予算の見直しが発生して土地探しや工務店選びをイチからやり直さないといけなくなると、時間もお金も無駄になります。
より正確な予算を知るためには、次のパターン③のやり方で計算するのがおすすめです。
パターン③ 「借入可能額」から決める方法
予算 = ①自己資金 + ②住宅ローン借入可能額
パターン③のやり方では「自己資金」と「住宅ローンの借入可能額」から予算を計算します。
この方法は、ローン審査の結果で予算の見直しが必要になるリスクが少ないため、注文住宅の予算の決め方としては一番おすすめです。
ただし一つ注意点があり、最大限借入可能な金額で予算を組んでしまうと、思っていたよりも返済が苦しくなってしまうリスクもあります。
無理なく返済できる予算を具体的にどうやって計算するのか、2ステップでご説明します。
「無理なく返済できる」予算を決める2ステップ
STEP① 自己資金を計算してみよう
「自己資金」というのは、貯金の中から住宅購入に当てられる資金のことです。
将来必要になる子どもの教育費などを差し引いて、注文住宅の自己資金として使える金額を把握します。
親や祖父母からの住宅購入資金の生前贈与が非課税になる「住宅取得等資金の贈与税非課税措置」もあり、最近は親からの資金援助を受けてマイホームを建てる方も増えています。親からの資金援助がある場合は、それも自己資金に含めます。
自己資金 = ①住宅購入に当てられる貯金額 + ②親からの資金援助額 + ③(住み替えの場合)自宅の売却額
自己資金は、住宅ローンの頭金や、ローン実行前の諸費用の支払いに使われます。
STEP② 住宅ローンの借入可能額は?
正確な住宅ローンの借入可能額は銀行を指定した「事前審査」をしてみないとわかりませんが、「返済比率」を元に計算する方法があります。
「返済比率」とは
「返済比率」とは、世帯年収に占めるローンの年間返済額の割合を表すもので、金融機関の融資審査で特に重視されている指標です。生活に無理なく返済できる金額は年収の25%以内と言われていて、返済比率が35%を超えると極端に融資の審査がおりづらくなります。
無理のない世帯年収ごとの借入額の目安
「無理なく返済できる」返済比率25%の借入額がいくらになるかを計算するのは少し面倒です。そこで、計算をしなくても簡単にわかるよう、世帯年収ごとの借入額の目安を表にまとめました。
世帯年収別借入額の目安(返済比率25%)
世帯年収 | 年間返済額 (返済比率25%) | 毎月の返済額 | 借入額の目安 |
---|---|---|---|
400万円 | 100万円 | 8.3万円 | 2,710万円 |
500万円 | 125万円 | 10.4万円 | 3,396万円 |
600万円 | 150万円 | 12.5万円 | 4,082万円 |
700万円 | 175万円 | 14.6万円 | 4,768万円 |
800万円 | 200万円 | 16.7万円 | 5,454万円 |
900万円 | 225万円 | 18.8万円 | 6,140万円 |
1,000万円 | 250万円 | 20.8万円 | 6,793万円 |
1,100万円 | 275万円 | 22.9万円 | 7,479万円 |
1,200万円 | 300万円 | 25.0万円 | 8,165万円 |
上の表でみた「借入額の目安」にSTEP1で計算した「自己資金」を足すと、無理なく返済していける注文住宅の予算が計算できます。
例えば、世帯年収が500万円で自己資金が400万円だった場合、無理なく返済できる予算は「3,396万円+400万円」の「3,796万円」ということになります。
パターン③の「無理のない借入可能額から予算を決めるやり方」なら、銀行へ事前審査を申し込んだ後に借入可能額が予想以上に低いことがわかり、予算を見直さないといけないといった失敗も避けやすくなります。
予算を把握した後はエリア毎の相場を確認しよう
本稿でご紹介した予算の出し方で、だいたいのマイホーム予算額を把握できたと思います。
この予算額をもとに、「どのエリアの土地にどのぐらいの家を建てられるかの「相場観」を養うこと」が、次のステップです。
下記の記事では「坪単価」という物差しを通して全国の建築費と土地の相場をご紹介しています。100㎡以上の広さの注文住宅を建てる場合、どのエリアにいくらぐらいで建てられるかという相場がわかりますので、ぜひご覧ください。